お金に関わる資格を取得することは、就職活動において有利になるだけなく、社会人として働く上であなたを守ってくれる知識の鎧(よろい)にもなります。
数あるお金に関わる資格の中で、入門編として取得をおすすめしたいのが「簿記(ぼき)3級」です。簿記とは、企業の経営成績と財政状況を明らかにする技能です。
簿記資格は民間資格ながら社会的信用が高く、60年以上に渡り人気があります。中でも3級は合格率が比較的高く、しっかりと準備をすれば1回の挑戦で合格を狙えます。 今回は、簿記3級の概要や取得するメリット、どんな方に向いているかを解説していきます。
目次
メリット1:社会人としてお金の基礎が学べる
・そもそも簿記(ぼき)資格とは?
・お金の資格の入門レベル
メリット2:3級は合格しやすい
・受験者数と合格率
メリット3:他の資格より受験料が安い(コストパフォーマンスがいい)
・受験概要(年3回開催1回2,850円、ネット試験も可能)
メリット4:就活・仕事に役立つ
・履歴書の資格欄に書ける実践的な資格
・確定申告や会計処理など経理関係がスムーズにできる
・会社の経営状況を判断できる
こんな人に向いています
・数学が好きor数字に抵抗がない
・コツコツ作業が好き
・将来フリーランスや起業に挑戦したい
メリット1:社会人としてお金の基礎が学べる
生きてく上でお金は一生ついて回るものです。社会人となればより一層関わりが深くなります。残念ながら日本は金融教育が進んでおらず、義務教育で十分な知識を身につけることは難しいため、生涯にわたって役にたつお金の知識は、自身で学ぶのが賢明です。
・そもそも簿記(ぼき)資格とは?
簿記とは、日々の経営活動を記録・整理して、経営成績と財務状態を明らかにする技能です。規模の大小や業種・業態を問わず全ての企業を対象としています。簿記資格とは企業経理の基礎知識を問う資格です。
2023年現在、簿記資格は3種類あります。
①日商簿記(主催:日本商工会議所および各地の商工会議所)
1954年から開催されている歴史ある検定試験です。民間資格ながら経済団体が主催しているため知名度が高く、企業の経理職では資格保有が必須である場合も多い信頼性の高い資格です。一般的に簿記資格=日商簿記資格といえるでしょう。
②全商簿記(主催:全国商業高等学校協会)
経理・会計分野を学ぶ商業高校生向けの検定試験で、受験者の大半は高校生です。日商簿記に比べ難易度は低めに設定されています。
③全経簿記(主催:社団法人全国経理教育協会)
経理・会計分野を学ぶ専門学生向けの資格試験です。難易度は全商簿記より上、日商簿記より下で、3つの内中間レベルといわれています。 今回は、受験者数が最も多く知名度も高い日商簿記3級について解説していきます。
今回は、受験者数が最も多く知名度も高い日商簿記3級について解説していきます。
・お金の資格の入門レベル
簿記3級の学習内容には、経済の一般知識が多く含まれます。勉強を進めていくと、経理知識(仕訳問題や帳簿・勘定記入、試算表作成)や財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書など)を読む力、経営管理や分析力がつきます。これによりコスト感覚が養われるので、自社や取引先の経営状況を把握できるようになります。
試験の設問は小規模な株式会社を想定しているため、現実社会とリンクする部分が多く実践的です。お金の基礎を学べるので、経理担当者だけなく全ての社会人に役立つ知識なのです。
メリット2:3級は合格しやすい
簿記3級は合格率の高さからも受ける価値のある資格試験といえます。
・受験者数と合格率
年3回開催される日商簿記の統一試験(ペーパー形式)と、ほぼ毎日受験可能なネット試験の直近受験者数と合格率は以下のとおりです。
◆統一試験

◆ネット試験

2020年〜2021年にかけて試験時間の変更や出題傾向の変化があり、一時的に合格率が低くなっていますが、合格率の平均は例年40〜50%となっています。
簿記3級は、独学でも一発合格が十分目指せるレベルです。難しい計算はなく、電卓を使って足し算や引き算をすることがメインです(試験では電卓を使用できます)。合格点は100満点中70点。合格に必要な勉強時間は約100時間と言われていますので、土日に2時間ずつ勉強(週4時間)した場合、半年ほどで合格ラインに達する見込みです。
メリット3:他の資格より受験料が安い(コストパフォーマンスがいい)
資格試験は意外とお金がかかるものですが、日商簿記3級は信用性・実用性共に高い資格なのに受験料は良心的です。
・受験概要(年3回開催1回2,850円、ネット試験も可能)
日商簿記は年3回(2月、6月、11月)開催されます。これまでは会場で行う統一試験(ペーパー形式)のみでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年12月からネット試験が開始されました。ネット試験の場合は、ほぼ毎日受験可能で合否判定は即日です。3級の受験料は統一試験もネット試験も消費税込み2,850円となっています。(別途、申し込み事務手数料がかかる場合あり)
お金に関わる資格として簿記と同じく人気のあるFP(ファイナンシャルプランナー)3級の受験料は8,000円(学科、実技各4,000円)、英語資格として最も認知度の高いTOEICの受験料は7,810円です。簿記3級は参考書を買い独学で合格を目指せるので、非常にコストパフォーマンスが良いといえます。
なお、主催者である商工会議所の検定試験HPでは、サンプル問題が無料でダウンロードできます。
メリット4:就活・仕事に役立つ
歴史があり社会的信用が高い簿記資格を取得することは、ご自身のスキルアップとなるだけでなく、就活や実際の仕事においても非常に役立ちます。
・履歴書の資格欄に書ける実践的な資格
簿記3級を取得していることは、経理の基礎知識を持っている証明になりますので、就活においては企業へのアピールとなります。経理職を希望していない場合でも「経済知識を得るために自主的に受験した」と面接で言えば、視座の高い人材と印象付けることができるかもしれません。新卒採用の学生さんが企業にアピールするのはもちろん、就業ブランクがある方が再就職する時に取得することで、就業意欲が高いと受け止められる可能性があります。また、資格に合格することでご自身の自信にも繋がります。
・確定申告や会計処理など経理関係がスムーズにできる
経理知識がつくことで、公私共に会計処理がスムーズに行えるようになります。フリーランスや副業など働き方が広がる時代、節税や納税を自身で行う機会も増える傾向にありますが、その時も簿記知識は役立ちます。経理関係の専門用語の意味を知っていれば内容が判断できるでしょう。
・会社の経営状況を判断できる
財務諸表を読む力がつくことで、会社の経営状態を自身で判断できるようになります。HPで企業概要や事業内容を見ることは簡単ですが、経営状態を知ることは知識がないとできません。上場企業の場合は財務諸表を一般公開していますので、誰でも見ることができます。見方を知っていれば、就活や取引先の選定時に情報源として活用できます。
こんな人に向いています
全ての社会人に役立つスキルが身につき、就活でも有利に働く簿記資格。他の資格試験に比べコスパが良く、取得するメリットが大きいですが、どんな方に向いているのでしょうか?
・数学が好きor数字に抵抗がない
経理や財務諸表といった数字を扱う作業なので、数学が好き・数字に抵抗のない方に向いています。しかしながら、理数系が苦手でも「お金」に興味のある方なら問題ありません。簿記は基本的に電卓を使って計算しますので、難しい数学を解く必要がないからです。家計簿をつけるのが好き、投資に興味がある、電卓を叩くのが好き・・・こんな方にも向いています。
・コツコツ作業が好き
数字の計算は細かく、決められた手順をこなしていく作業が多いため、コツコツ作業が苦にならない方が向いています。パズルやプラモデルなど根気のいる作業が好き、毎日同じルーティーンを滞りなくこなすのが好き、という方に向いています。
・将来フリーランスや起業に挑戦したい
簿記3級の学習内容を通して、経営管理や分析力、コスト感覚が身につくとお伝えしましたが、このスキルは経営者として独立するときに役立ちます。近年働き方の変化により、本業は会社員で副業はフリーランスという方も増えてきました。副業分は自身で収支の管理をするため、簿記知識が活かせるでしょう。
まとめ
今回は簿記3級を取得するメリットを解説しました。準備資金がさほどかからず、経済知識や経理の基礎を学べて、仕事にも活かせる簿記3級は、全ての社会人に取得をオススメしたい資格です。時代に合わせて学習内容を変えており、変化に即した実践的な知識が得られる点も簿記資格の魅力です。
世の中に資格試験はたくさんありますが、60年以上も受験者が減らず、社会的信用が高い資格は少ないです。分かりやすい参考書も数多く出ていますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。